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Nikon 50mm F1.2 (2011-113052)の特許 [光学技術・レンズ設計]

ニコンが50mm F1.2と50mm F2の特許を出願中です。 コーティングや光学設計を最適化することで、フレアやゴースト、コマ収差を極限まで抑えたレンズです。 ニッコール随一の明るさを誇るAi Nikkor 50mm f/1.2もいよいよAF化されるのでしょうか。 また50mm F2はAPS-C用のシフト・ティルトレンズが想定されます。

patent
50mm f/1.2 50mm f/2.0
2011_113052_fig01.png 2011_113052_fig12.png
INF MOD INF MOD
2011_113052_fig02a.png 2011_113052_fig02b.png 2011_113052_fig13a.png 2011_113052_fig13b.png

English page is here.

特許文献、及び要約・自己解釈

  • 特許公開番号 2011-113052
    • 公開日 2011.6.9
    • 出願日 2009.11.30
  • 実施例1
    • 焦点距離 f=51.60mm
    • Fno=1.25
    • 半画角 23.29°
    • 像高 21.60mm
    • レンズ全長 95.78mm
  • 実施例2
    • 焦点距離 f=51.61mm
    • Fno=1.45
    • 半画角 23.07°
    • 像高 21.60mm
    • レンズ全長 86.39mm
  • 実施例6
    • 焦点距離 f=51.60mm
    • Fno=2.10
    • 半画角 25.28°
    • 像高 24.00mm
    • レンズ全長 108.47mm
  • ダブルガウス型
    • コマ収差が多い
    • ゴーストやフレアが多い
  • 多膜層の反射防止膜
    • その一面は、ウェットプロセスによる反射防止膜
  • 空気との屈折率差を小さくして反射を軽減
    • 多膜層の最も表面側に、ウェットプロセスによる反射防止膜を設ける
    • 屈折率は1.30以下
  • ゴーストの発生し易い面に、反射防止膜を設ける
    • 開口絞りに対する凹面
    • 像面から見て凹面
  • サジタルコマ収差をはじめとする諸収差を良好に補正出来る光学設計

ナノクリスタルコート

入射角度にもよりますが、従来のコーティングでは0.5%程だった反射率が、新しいコーティングでは0.2%程に抑えられているようです。 これは大きな進歩ですね。

patent
ゾル-ゲル法によるウェットプロセス 真空蒸着法によるドライプロセス
物質 屈折率 物質 屈折率
媒質 空気 1 同左
第7層 無し フッ化マグネシウム 1.39
第6層 無し 酸化チタン-酸化ジルコニウム混合物 2.12
第5層 シリカとフッ化マグネシウムの混合物 1.26 酸化アルミニウム 1.65
第4層 酸化チタン-酸化ジルコニウム混合物 2.12 同左
第3層 酸化アルミニウム 1.65 同左
第2層 酸化チタン-酸化ジルコニウム混合物 2.12 同左
第1層 酸化アルミニウム 1.65 同左
基板 BK7 1.52 同左
分光特性 2011_113052_fig39.png 2011_113052_fig41.png
反射率 0.2% 0.5%

しばらく前からニコンの特許文献に見られる、ウェットプロセスによる反射防止膜という技術。 屈折率を空気に近付けることで光の反射を小さくする考え方は、ナノクリスタルと同じです。 ナノ粒子膜は波長193ナノメートルで1.18という超低屈折率を有する膜 ですがこれはステッパー用です。 単純比較は出来ませんので、特許文献の反射防止膜とナノクリスタルコートが同一のものであるかは分かりません。

レンズの内面反射

特許の内容はコーティングの材質ではなく、効果的に使う方法です。 レンズに入射した光は内部で反射し、ゴースト等を発生させるようです。 絞りの前後にある面ですね。 その部分に効果の高い反射防止膜を施すことで、ゴーストの軽減を狙ったようです。

50mm f/2の製品化は

イメージサークルが48mmありますから、普通のレンズではありません。 FX用のPC-Eとしてはイメージサークルが足りませんが、DX用のPC-Eレンズとして考えると都合が良いですね。 以前から出願のあるレンズで、かなり時間をかけて検討されているようですね。

50mm f/1.2の製品化は

いつもニコンとキヤノンの話題ばかり扱って、他メーカーのユーザー様には申し訳なく思います。 売れ筋である18-55mmや55-300mmといったレンズは発売後に特許が公開されるので記事として扱いませんが、 ニコンとキヤノンは開発に時間をかける製品が多く、製品化される前に特許が公開されてしまうのです。 ニッコール千夜一夜物語によると、Ai AF Nikkor28mm F1.4Dの開発期間は10年だそうです。 激動のデジタル時代に10年等と悠長なことは言ってられませんが、それでもEF70-200F2.8L IS II USMやAF-S Nikkor 35mm F1.4Gは2年以上の開発期間を要したようです。

あぶくま洞

Ai Nikkor 50/1.2S Fujichrome RXP
F1.2 1/4sec ISO400

薄暗い鍾乳洞での撮影も、大口径ならでは。
手振れが少々…

50/1.2も段階的に設計が進んでいるようですね。 1年前に公開された特許は基本的な光学設計、今回は光学設計の熟成とコーティングです。 1年後位には非球面を使用した光学設計の特許が公開されるのかもしれません。 カメラシステムを構築する上で、1本は大口径が欲しいもの。 来年(2012年)は日本光学95周年、再来年(2013年)はニッコール80周年ですので、是非とも製品化を狙ってほしいですね。

趣味・カルチャー 部門 1位

記事と関係ない話で恐縮ですが、1位になっていました。 沢山のアクセスありがとうございます。

access20110612.png

日本語ページはこちら(Japanese page is here.)

Nikon applied for a patent about 50mm F1.2 and 50mm F2.0 lenses. The 50mm F1.2 is fast lens for full frame format. Probably the 50mm F2 will be shift-tilt lens for APS-C format.

The patent document and it summarized

  • Patent Publication No. 2011-113052
    • Published 2011.6.9
    • Filled 2009.11.30
  • Embodiment 1
    • Focal distance f=51.60mm
    • Fno=1.25
    • Half angle of view 23.29 deg.
    • Image height 21.60mm
    • Lens length 95.78mm
  • Embodiment 2
    • Focal distance f=51.61mm
    • Fno=1.45
    • Half angle of view 23.07 deg.
    • Image height 21.60mm
    • Lens length 86.39mm
  • Embodiment 6
    • Focal distance f=51.60mm
    • Fno=2.10
    • Half angle of view 25.28 deg.
    • Image height 24.00mm
    • Lens length 108.47mm

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コメント 21

血染羊毛

1位おめでたう御座います!

ナノクリってドライプロセスもあるのですね
球面物では避けたい気がしますが
明るいレンズは凄く魅力的ですけどF1.4のお値段を見るとF1.2は…
by 血染羊毛 (2011-06-12 08:47) 

でいぶさん

DXフォーマット用にシフト・ティルトレンズとは、思い切った商品ですね。
ニコンの事ですから AF で登場、なんてこともあるのかな・・・
by でいぶさん (2011-06-12 09:22) 

こうちゃん

5012は楽しみですね。
そうするとキヤノンの5012もタイプⅡに進化すのかな?
ちょっと早いかな?
by こうちゃん (2011-06-12 10:49) 

kiyo

50mm F1.2は、単焦点好きの方の憧れでしょうから、楽しみですね。
Canonのように、F0.95はださないんでしょうかね?
もっとも、Canonも、EOS用途では出していないですよね。

それから、「趣味・カルチャー 部門 1位」、おめでとうございます。
中身の記事が充実していて、固定ファンが多くないと、1位は実現しないと思います。

by kiyo (2011-06-12 12:23) 

ぱぱくま

アクセス1位おめでとうございます。
えがみさんの記事は内容も充実していていつも楽しみです。

私はCanonユーザなのですが、
やはり50ミリf1.2の話題は他マウントでも気になりますね。
各メーカーとも切磋琢磨して良い製品が出てくると嬉しいです。
最近は50ミリをすっかり常用しています。
by ぱぱくま (2011-06-12 13:56) 

s_take

ランキング1位おめでとうございます。
F1.2の明るさは一度は手にしてみたいレンズですね。
by s_take (2011-06-12 14:22) 

コリンママ

一位おめでとうございます!!
勉強になることが多くて、いつも楽しみにしています。

鍾乳洞、あぶくま洞が好きでよく遠出していたんですが
写真を撮ったことはなかったかも・・・・
今、あの辺りはどうなっているのか心配です。
関係ない話ですみません☆
by コリンママ (2011-06-12 15:06) 

hi-low

1位おめでとうございます。毎回楽しみにしています。
Nikonの50mm/F1.2の設計を見ると、Sonyが50mm/F1.2で光学設計の挑戦をしていることが分かりますね。
MFで絞り環があるレンズは様々なカメラで使えるので、新型にも興味はありますが、現行のNikkor 50 F1.2をディスコンになる前に確保せねば・・・。
余談ですが、北九州市の平尾台にある牡鹿洞は、入口が高低差25mの竪穴で面白いですよ。
by hi-low (2011-06-12 15:16) 

レイリー

アクセス1位、おめでとうございます!
内容が凄いので当然の結果ですね~
これからも色々と勉強させていただきたいので宜しくお願いいたします。

これもまた過激なレンズ。。。
やはり私もフルサイズ機が欲しいですね~

by レイリー (2011-06-12 19:09) 

sira

さすがの一位、納得いたします^^
おめでとうございます。

AiNikkor50/1.2Sが、最後に手放したNikkorレンズなんです。
襟裳岬まで一人旅したときのお供なんで、ちょっと懐かしく思いました。
前回の105/2.5S同様に、ニコンらしいしっかりとしたレンズでした。
それ以上の名玉が製品化されるといいなあ。
(Canonユーザーですが^^;)
by sira (2011-06-12 19:14) 

水銀

こんちわ、えがみさん

50mm/F1.2は、もし発売されてもまず買えない値段でしょうけど、こういうレンズが出てくるのは楽しみですね(^^)
50mm/F2の特許がもしDXのPC-Eレンズならかなり気になるレンズになりそうです
by 水銀 (2011-06-12 22:31) 

rawmaterial

えがみさん、こんにちは。
ランキング1位、おめでとうございます。
いつもの解説内容を見れば流石というか当然というか・・・。
機材を持っているだけで、実のところ構造や原理には殆んどついていけない自分ですが、これからも楽しみにしています。
by rawmaterial (2011-06-13 01:29) 

begenn

1位おめでとうございます。
日々の御努力の賜物だと思います。

さてさて、今回のレンズですがAFはいらないですよね.
値段が10諭吉超え~  なんて洒落になりませんよ。
by begenn (2011-06-13 06:57) 

えがみ

> 血染羊毛 さん
ありがとうございます。自分でもビックリです。
ナノコーティングの手順が見付からなかったので分かりませんが、どちらの手法もナノとは関係ないかもしれません…。


> でいぶさん さん
AF用モーターを組み込んでおけば、ライブビュー時のみAFなんてことも出来ますね。
ティルトはライブビューの方がやり易いです。


> こうちゃん さん
一部レンズはキヤノンが先行、別の一部はニコンが先行といった状況なんだと思います。
24/1.4、35/1.4、50/1.2…

ここでニコンが50/1.2が出せば並びますから、キヤノンは先ず35/1.4のリニューアルを急いでほしいと思います。


> kiyo さん
ありがとうございます。
リファラを参照させないだけかもしれませんが、ブックマークは意外と多いんですよね。
今後とも期待に添えるべく精進します。

F0.95ですか…
ここまでくると、カタログに載っていることに意味のある特殊レンズなので…(汗
どうせならPlanar 50㎜ F0.7を超えてほしいですが、EOSマウントの口径で可能かどうか。


> ぱぱくま さん
ありがとうございます。
私は開発の経緯や設計思想が大事だと思うのですが、たまに海外サイトで引用されることがあるかと思えば焦点距離とF値等のスペックのみ。
が、今後も充実に力を入れていきたいです。

Canonに続き、Sony、Nikonも50/1.2をラインナップに加える可能性が出てきましたね。
金額的に見て、50/1.2なら多くの方が愛用しそうです。


> s_take さん
ありがとうございます。
明るいレンズは憧れです。


> コリンママ さん
ありがとうございます。
公開される特許情報に依存していることを考えると、複雑な気持ちです。

折角なので50/1.2で撮影された、50/1.2ならではの写真はないかと探したところ、これになりました。
洞窟内を撮っただけの写真ではつまらないので、色彩豊かなライトアップの光景をと思い。

スキャナーは手放してしまったので、昔のポジを一眼レフで撮影しました。
最近はニコンの使用率が下がっています…(汗
ニコンももう少し薄型のボディにしてほしいところです。F6くらいの厚みだったらな…。


> hi-low さん
ありがとうございます。
hi-lowさんには教えて頂いてばかりです。

Ai Nikkorが依然として残っていることは奇跡的です。
Ai-S35/1.4も新品で確保しておこうかと思う今日この頃です。

少し遠いですが、牡鹿洞にもいつか行きたいと思います。


> レイリー さん
ありがとうございます。
長々と書かず「ニコンが特許出願中、スペックは50mm F1.2」と一行でまとめる方がウケは良いのかもしれません。
が、誰からも凄いと言われ続けるBlogを目指したいです。

殆どのレンズはフルサイズ前提の画角を想定しているので、フルサイズが使い易いです。
(勿論、APS-Cで使い易いレンズもあります)
次の新型辺りでフルサイズ機を買おうかな。


> sira さん
ありがとうございます。
実は私自身が納得出来ていません(笑
技術系のBlogで一位というのは、先ず有り得ないだろうと。

CanonユーザーはNikonを羨ましく思い、NikonユーザーはCanonを羨ましく思うこと多々あります。
NikonだとGレンズになってしまうので、Canonに乗り換えるのも良いと思っています。
ボディはニコンの造りが好きですが、色はキヤノンの方が好きです。


> 水銀 さん
MF時代の50/1.2は安いですが、この性能だと売れないと思います。
となるとEF50/1.2Lのような価格帯…


> rawmaterial さん
ありがとうございます。
1位だった方の更新が最近されない為かもしれません。
私は毎日更新しない方針なので、直ぐに2位になるかも。

原理を知れば更に楽しくなりますよ。


> begenn さん
ありがとうございます。
アクセス解析でリンク元を見ると海外Rumorsサイトが多く、履かされている下駄は大きいのでは、と思うと複雑な気分です。
彼らはRumorsサイトをブックマークに入れることはあっても、当Blogをブックマークに入れることはありませんから。

Aiでさえ、後玉を切欠き、何とか1.2を実現したくらいですからね~。
最新の硝材で実現出来るのか、絞りレバーを廃しAF-Eにすれば実現出来るのか、AF接点を廃してMF化すれば実現出来るのか…

by えがみ (2011-06-13 21:09) 

hi-low

えがみ さん
血染羊毛 さん
特許文献では、コートの第5層がナノ粒子層です。そこだけウェットプロセスで、第4層までは真空蒸着(ドライプロセス)です。ナノ粒子層は構造がもろそうなので、内部レンズにしか使えなさそうですね。
以下のページにナノクリスタルコートの構造模式図がありました。
http://www.nikon.co.jp/profile/technology/life/imaging/nano/index.htm


by hi-low (2011-06-13 22:29) 

良吉

 できたら、球面構成で出して欲しい。ライカ(0.95)とキャノンは非球面採用、ツアイス(55/1.2)とニコンは球面のみの対比が面白そう。個人的ですが、どちらかと言うと非球面に懐疑的。

 出たら付けるボディを持っていないけど買います。じゃなくてボディも買いますよ。昔からニコンは、あこがれだけど、なんか、めんどくさい印象が有る。でも、50/1.2なら我慢しましょう。
by 良吉 (2011-06-14 20:21) 

えがみ

> hi-low さん
表面を粗にしたということなので、もし表面がナノクリスタルだったら、個人ではクリーニング出来なさそうです。

> 良吉 さん
ボケの縁に色が付いてリング状になるレンズが多い気がしますね、確かに。
設計上は球面のみも可能なので、仰る通りこれは面白そうです。

by えがみ (2011-06-15 00:19) 

ポロ&ダハ

nikonの50mm/F1.2はまだ過剰補正ですけど、完全補正に近づいてきていますね。 コントラストは良くなるんでしょうけど、周辺光量は何十%確保できているんでしょうかね。
ノクチルクスの場合は、かなり低いみたいですけど、CANONの50mm/F1は周辺光量がF1としては豊富ですけど、その分コントラストや解像度は低いですよね。
F1.2ならF1のようなアクロバティックな設計は不要だと思うんですけど、SONYの方がnikonよりアクロバティックですよね。
by ポロ&ダハ (2011-06-15 23:19) 

えがみ

> ポロ&ダハ さん
パテントだけでは良く分からないのが難点ですね。
メーカーの方なら設計ツールにデータを叩き込んで、およその傾向をつかめるのかもしれませんが…。

ニコンは保守派というか手堅い感じがしますので、前衛的な製品は望めないのかもしれません。

by えがみ (2011-06-20 00:23) 

グッドバランス

亀コメント 申し訳ございません。

一位、おめでとうございます!
上位常連も、当然だと思います。

50ミリF1.2、Ai-SをFM2に付けて、夕景撮影でよく使いました。
ノクトなんて、高すぎて変えませんでしたし。
ピントが来た時の快感は格別ですね。


by グッドバランス (2011-07-06 23:23) 

えがみ

> グッドバランス さん
三日天下だったか、2位になっていました(笑
他の方のBlogで何故アクセス数が多いのか疑問に思うことがありますが、他の方が私のBlogを見て、何故上位にあるのか疑問に思っているのでしょうね。

50/1.2は50/1.4との価格差が殆どなく庶民の味方でした。
高価なノクト58/1.2は今でも憧れです。
もう一度出してくれないかな。58mmや51.6mmではなく、Noctでもなく。
Nocf-Nikkor 35/1.2とか、75/1.2とか。

by えがみ (2011-07-10 03:21) 

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