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Canon 色分離性能を改善した三層型撮像素子の特許 [半導体・エレクトロニクス技術]

キヤノン半導体の配置を工夫することで混色を抑え、色分離性能を向上させた撮像素子に関する特許を出願中です。 各メーカーとも、多層式の撮像素子が将来的に普及することに向けて、土台作りを怠っていないようですね。

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特許文献、及び要約・自己解釈

  • 特許公開番号 2011-129785
    • 公開日 2011.6.30
    • 出願日 2009.12.18
  • 従来技術
    • 深さによって色分離を行う撮像素子(フォビオン式)は、例えば赤や緑色が、青の深さで電荷の蓄積が行われてしまい、青色におけるノイズとなる
    • 裏面照射型撮像素子は、表側に配線が無い為、全面に光が入射し、色分離が悪化する
  • キヤノンの特許
    • 裏面照射型撮像素子
    • BGRの順で複数の受光部を設ける
    • 一つの画素において、中心に電荷収集部を、端に電荷読み出し部を設ける
    • マイクロレンズの集光機能により、中心にある電荷収集部の光量は増え、端にある電荷読み出し部の光量は減る
    • 従って、Bの電荷読み出し部において、G光を受光し難くなり、混色を防ぐ
    • Bの面積が一番広い。画素と画素の間隔を狭めることで混色(B色がG受光部で受光する)を防ぐ
    • マイクロレンズとB電荷読み出し部は中心が一致。B電荷読み出し部で受光し易くして、混色を防ぐ
    • 混色を防ぐことで色分離性能を向上させる

裏面照射型フォビオンセンサー + マイクロレンズと半導体改良型

フォビオン式と裏面照射型は相性が悪いみたいですね。 フォビオン式は深さを利用、裏面照射型は浅くしたもの。 いずれにせよ深い画素を前提として設計するようですね。 キヤノンは、フォビオン式センサーを裏面照射型とし、更に半導体の配置やマイクロレンズを工夫することで、 色分離性能を向上させたようです。 別形式として、光導波路の採用等も検討しているようです。

特許を抑える

他社の公開特許を参考にして、新たにアイデアを考案することは珍しくありません。 今回の特許の元となったのはシャープの多層型イメージャー(特開2008-060476)、 そのシャープが参考にした特許が、かの有名な米国特許第5965875号(特表2002-513145号)、すなわちフォビオンの基本特許です。 多層式に関する特許は各社が出願していますが、その源流は必ずフォビオンに辿り着くようです。

今回にように、あるメーカーが基本特許を、別のメーカーが周辺特許を抑えるケースは珍しくありません。 シグマ&フォビオンは、周辺特許に抵触するような製品の改良を行えない。 キヤノンは、基本特許を持たない為、周辺特許を活かした製品を出せない。

ベイヤー式の特許は米Kodak社のベイヤー氏によるもの(米国特許第3971065号)ですが、今やカメラ用のベイヤー式センサー開発と製造の筆頭はソニーです。 フォビオン式の特許が切れれば、各社とも足並み揃えてフォビオン式センサーを採用するのでしょうか。 パテントが切れる頃には、多層式の欠点を改善した技術も数多く考案されているかもしれませんね。

ヨドバシフォトギャラリー「INSTANCE(インスタンス)」

20110706.jpg

写真展の情報をIsPhotoさんから頂きましたので、行ってきました。 A2 ~ 120x150cmの写真は迫力が桁違いです。 ニコンやキヤノンが採用するCMOS、シグマのFoveonも魅力的ですが、一度ローパスレスCCDを味わってしまうと他社へはなかなか乗り換えられません。

作品ではPhaseOne P45+とAF28mm f/4.5Dによる撮影が大変参考になりました。 私はその近辺の画角ではAF35mm f/3.5(換算21mm)を使用しており、色収差は極めて良好ですが、かなり流れる周辺が気になっていました。 デジタル設計の28mm(換算17mm)は、120x150cmまで引き伸ばしたから止むを得ないという理由もありますが、隅の像面湾曲が僅かに気になる程度。 買い増すことで画質は改善しますが、重量、明るさ、一般用途では広過ぎる画角が気になるところです。 フルサイズ~APS-C機では純正、コシナ、シグマ、タムロン、トキナーと豊富な選択肢から良いものを選べば良いのですけど、サードパーティーが無いマウントは少々不便ですね。

PLATINUM FOREST 川口和之(Kawaguchi Kazuyuki)氏 フィルムを超える幅広い階調と16bitの深遠な色表現を持つデジタルバックと高性能なレンズが精緻な解像力で捉えたデジタル画像を高品位なプリントで実現。

ヨドバシフォトギャラリー「INSTANCE(インスタンス)」写真展開催中


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コメント 10

penny

基本特許と周辺特許、勉強になりました。
by penny (2011-07-06 09:28) 

こうちゃん

インスタンス+、僕も行きました。
ヨドさんのスタッフに個展を勧められて
しまいました。・・・汗
by こうちゃん (2011-07-06 13:40) 

レイリー

コレもまた最先端ですね~
こうちゃんさんには是非、個展を開いていただきたいです (^^
by レイリー (2011-07-06 15:10) 

kiyo

えがみ さん
多層型受光素子は、フォビオンの基本特許を超えられないのでしょうか?
フジとか、NHK+オリンパスの研究していた有機三層式も、この基本特許にぶつかるんでしょうね。

有益な周辺特許とは、クロスライセンスしたり、共同開発に持ち込むことは出来ないんですかね?
フォビオンとは兎も角として、シグマとは、ニコン以外の各社は友好関係かと思いましたが、どうなんでしょう?
by kiyo (2011-07-06 16:17) 

ぱぱくま

Canonユーザには気になる話ですね。
研くのは自分の腕かなって最近感じます(^-^;
ありのままの真実を写し取る写真、インスピレーションを
増幅させる写真・・・デジタルが追い求めているのは何でしょうね。
ハードの進化は嬉しいですけどそれに追いついてるかな(^-^;
by ぱぱくま (2011-07-06 20:36) 

s_take

開発が進めば3層型が主流になる日が来るかもしれないですね。
その時、シグマはライセンス料で大儲けでしょうか!?
ユーザーとしてはシグマの独占だけは勘弁ですね。
by s_take (2011-07-06 20:56) 

読者

シグマにこそ儲けて欲しいですね。
あとから、銭に任せて好き放題は面白くありません。
by 読者 (2011-07-06 22:49) 

hi-low

多層型撮像素子に関係する特許を各社が申請していますが、複雑な構造のため製造プロセスの構築がかなり大変そうです。競争力を考えると、製品単価をベイヤー配列素子程度にできる見通しがつかない間は、各メーカーも生産しないでしょう。
多層化よりも、今の技術の延長でレンズ分解能以下の極小素子を作り、画像の1ピクセルを複数のベイヤー配列に対応させる方向に進むのかなと思います。えがみさんが紹介されたソニーの0.9マイクロメートルピッチ素子なら、フルサイズで10億ピクセル、ベイヤー配列4つ分の1/16でも6000万ピクセルありますから、ピクセル数としては十分ですね。
by hi-low (2011-07-07 11:28) 

ナビパ

私もこうちゃんの個展を拝見したいです。
えがみさんの知識も羨ましいです。
ふたりが組んだら凄いだろうな。。。
by ナビパ (2011-07-07 22:40) 

えがみ

> penny さん
他社の基本特許のパクリであっても、周辺特許のアイデアがあれば沢山出願した方が有利なんです。
以前キヤノンは14-24/2.8の特許を出していましたが、製品化は関係なく、ニコン14-24/2.8を見て触発されたのしれませんね。


> こうちゃん さん
顔がきくんですね。
そこはお言葉に甘えて是非!


> レイリー さん
キヤノンもまた撮像素子メーカーなので技術の追求には余念が無いですね。


> kiyo さん
フォビオンは、シリコンの厚みによって吸収する波長が異なる原理を利用したものなので、ソニーやキヤノンだとバッティングしますが、有機物を利用した富士写の方式だと問題無さそうですね。
NHKの有機3層は研究中で10万画素に満たず、特許の有無に関わらず実用化は当分先だと思います、

シグマは画質追求をピンポイントで狙っていますが、市場のニーズは高感度性能です。
価格が安く高感度に優れた汎用CMOSセンサーを使って、高画質であるかのようなマーケティングを行う方が、株主は満足するでしょう。


> ぱぱくま さん
ユーザーはシャッターを切るだけですよ。
あとはキヤノンのDSPが素晴らしい絵を出力してくれます。


> s_take さん
寡占化は避けたいので、無機物のフォビオンと有機物のフジフイルムの2強が育ってくれると良いですね。
シグマ&フォビオンが周辺特許で幾十にもがちがちに固めていれば、ライセンス料も有り得ますが、半導体製造のスケールメリットとして、撮像素子の販売によって利益を出す方が良いかもしれません。


> 読者 さん
シグマは莫大な開発費を投じているのでしょう。だから利益を得る権利があります。
他メーカーが特許文献を参考にして別の特許出願をする時、それは机上の理論であることも有り得ますね。

NHKや富士写はちゃんと研究しているので、有機三層さえ製品化させれば、利益の恩恵に預かっても良いですけど。


> hi-low さん
縦方向ではなく、横方向に広げるわけですね。
単純なベイヤ配列の方が間違いなく安上がりですし、画素数競争からして、メーカーの進む将来が垣間見て取れるというものです。


> ナビパ さん
ただのカメラ好きのおっさんです。
誉めても何も出てきませんよ(笑
by えがみ (2011-07-09 02:38) 

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キヤノンのFOVEONタイプ+裏面照射センサーの特許(エンジニアの嗜み)(YOUのデジタルマニアックス dmaniax.com 2011-07-06 09:53)

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