Canon 300mm F4 にラジアル型屈折率分布素子を用いて高性能化する特許 [光学技術・レンズ設計]
キヤノンが300mm F4、50mm F1.2、24mm F2.8の特許を出願中です。 ラジアル型屈折率分布素子と呼ばれる硝材を用いて、色収差の補正を効果的に行ったフルサイズ対応の単焦点レンズになります。 過去に同じスペックの出願があるので、性能向上を様々な技術で模索しているのかもしれませんね。

patent: 300mm F4

patent: 50mm F1.2

patent: 24mm F2.8
特許文献、及び要約・自己解釈
- 特許公開番号 2012-8352
- 公開日 2012.1.12
- 出願日 2010.6.25
- 実施例1
- 焦点距離 f=294.0mm
- Fno=4.14
- 画角=8.42deg.
- 構成 11群15枚
- ラジアル型屈折率分布素子 1枚
- 望遠比 0.78
- インナーフォーカス (第2レンズ群はフォーカス用)
- 実施例3
- 焦点距離 f=51.5mm
- Fno=1.25
- 画角=45.6deg.
- 構成 6群10枚
- ラジアル型屈折率分布素子 2枚
- 非球面 1面1枚
- 実施例4
- 焦点距離 f=24.7mm
- Fno=2.86
- 画角=82.4deg.
- 構成 10群11枚
- ラジアル型屈折率分布素子 1枚
- リアフォーカス (第2レンズ群と第3レンズ群はフォーカス用)
- 色収差が発生する原理
- 光線はレンズの境界面で屈折する
- 光線はレンズ内では屈折しない
- 屈折率は波長毎に異なる
- アキシャル型屈折率分布素子とは
- 光軸方向に屈折率が変化する
- 今回の特許技術では使用しない (紹介しただけ)
- ラジアル型屈折率分布素子とは
- 光軸と垂直な方向に屈折率が変化する
- 光線はレンズの境界面とレンズ内の両方で屈折する(色収差が発生する)
- 屈折率分布が適切であれば色収差を補正可能
- 球面や非球面ではなく、平面(平板ガラス)でも良い (加工が楽)
- キヤノンの特許
- 屈折率分布を各波長毎に最適化したラジアル型屈折率分布素子を作ることは困難
- 特許技術では、波長分散特性(アッベ数、部分分散比)を最適化することで、色収差を補正する
- 計算を最適化し、d線、C線、F線、g線の4波長の色収差を同時に補正する
- 樹脂を混合してラジアル型屈折率分布素子を作成
ラジアル型屈折率分布素子
キヤノンは特異な硝材の研究が盛んのようです。 過去には電気光学素子や回折光学素子がありましたね。 特許技術は、中心と周辺で屈折率が異なる硝材を用いて、更に光学設計の計算を最適化することで色消しを行うというものです。 像高によって屈折率が変化する屈折率分布レンズは過去にも出願されていますが、屈折率を変える方法も色々あるんですね。 今後はレンズ設計の自由度が増すことで、性能がより向上したレンズが登場するでしょう。 光学設計の計算はややこしい話になりそうですが、こうした地道な努力が次世代を切り開いていくんですね。
300mm F4
図のLgi1をご覧下さい。 保護ガラスのようですが、実はこれがラジアル型屈折率分布素子なんです。 カタログのレンズ構成図を見ただけは、保護ガラスなのか収差補正用のガラスなのか判別出来なくなりますね(笑
性能は、球面収差が±0.02mm以内、非点収差の⊿Sと⊿Mの差が中心で0、四隅で0.07mm程度、歪曲が+1%、倍率色収差の各波長の差が中心で0、四隅で0.007mm程度。 300mm F4の性能は別次元です。AFも爆速でしょう。 尤もメーカー問わず300mm F4は良いレンズばかりですし、この位の性能向上は当たり前ですよね。
50mm F1.2
性能は、球面収差が±0.05mm以内、非点収差の⊿Sと⊿Mの差が最大0.3mm程度、歪曲が-2%、倍率色収差の各波長の差が最大0.016mm程度。 非点収差の開きがちょっと気になりますね。 二線ボケの原因にならないと良いのですけど。
特許出願時期と焦点距離、F値からすると CN-E50mm T1.3 L F を彷彿させます。 最近は85mm F1.2 (T1.3) もありましたし。 調べていたら次のような下りが。
EFシネマレンズでは、レンズごとの周辺光量やカメラ側の絞り制御、レンズ名や絞り値、シャッター速度などのメタデータ記録など、キヤノン製レンズとの最適化を図った機能を搭載する(各機能の対応はレンズにより異なる)。なお、EOS C300などCINEMA EOS SYSTEMでは、AF対応のものはなく、マニュアルフォーカスでの利用を前提としている。
キヤノン、スーパー35mmCMOSビデオカメラ「EOS C300」 -実売150万円。映像制作市場に本格参入。4Kモデルもより
私の情報では、絞り制御はレンズ側のみ、CPU内蔵せず、とのことでした。 キヤノン社内で意思の統一が図れていなかったのか、インプレスのミスか、それは分かりませんが、新製品発表や展示では慌しくなりますから仕方がないですね。 いずれ正確な情報が出てくるでしょう。
24mm F2.8
性能は、球面収差が±0.02mm以内、非点収差の⊿Sと⊿Mの差が最大0.25mm程度、歪曲が-2.8%、倍率色収差の各波長の差が最大0.02mm程度。 像面湾曲が目立つかもしれませんね。
24mmはフルサイズでもAPS-Cでも使い易い画角になりますから、キヤノンに限らずリニューアルが望まれているレンズです。 特許の例だとAFが遅いと思うので、もう一工夫といったところです。
| 300mm F4 | 50mm F1.2 | 24mm F2.8 |
|---|---|---|
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キヤノンの新製品
新製品試作のスケジュールが震災によって大幅に遅れたため、発表に至ることができずにいます。すでに発表していた500mm、600mm、200-400mmといったレンズをまずは顧客に届けなければなりません
宇都宮の光学研究所には、今年発売するはずだった試作がごろん、ごろんとたくさん転がっています。
インタビュー:ミラーレスの「今」と「これから」【キヤノン編】より
当ブログをいつもご覧頂いている方には説明不要と思いますが、キヤノンはレンズに関する出願が豊富であるものの、製品化されていないケースが少なくありません。 キヤノンの光学研究所にあるプロトタイプには、今までに公開された特許のレンズも含まれているのでしょうか。 ロンドン・オリンピックがあるので超望遠レンズが最優先されると思いますが、その後には新製品が続々と登場するかもしれませんね。
- 過去記事
- 外部リンク










そうですね、ゴーヨン、ロクヨンは予約している人も
多いでしょうから、発売日が未定はまずいですよね。
by こうちゃん (2012-01-16 16:57)
中心部分と周辺で屈折率の異なる硝材が実用化されたら素晴らしいですね。
温度変化に弱いのでは? という気もしますが、描写力の高いレンズがどんどん開発されるニュースが続くと楽しいですね!
by RAVEN (2012-01-16 18:30)
Impressの記事は気になりますね。
レンズもボディも早く出してほしいです。
by s_take (2012-01-16 21:17)
サンヨンもとうとうモデルチェンジですか
デジタルだけでなく光学系の新たな技術は大歓迎です。
まぁ~新しくなっても使いこなさせてはいないのですが・・・^^;
by ナビパ (2012-01-16 21:31)
ドンドン手が届かない所に行ってしまいそうです。。。
宇都宮には同級生が居るのですが途切れることなく忙しいと嘆いていました。
by レイリー (2012-01-16 23:22)
カメラで使用出来るレベルで屈折率の勾配を制御出来るって言うのは凄いですね。
by まっちゃん (2012-01-17 09:38)
あらかじめ色毎に違う屈折率で屈折させておいて、レンズの分散と相殺させ、倍率色収差を減らそうとするまでは理解できたけど、屈折の方向は中心と周辺の屈折率の変化でコントロールするのだろうか。
いやはや考えたとは思うけど、これが出ても買うことは無さそう。結像に貢献しないエレメントを増やすのは感心しないから。
by 良吉 (2012-01-17 20:21)
サンヨンが新しくなるんですね(もしかしたら)
しかも私には分からない新技術ですね。
もうキヤノンユーザには戻れないのかもと思うと・・・涙
by コリンママ (2012-01-17 22:29)
> こうちゃん さん
どうしても必要な人も、今更旧型を買えませんし、困り物です。
> RAVEN さん
仰る通り、プラスチックで作ると環境変化に弱そうです。
> s_take さん
もしや私の聞き間違い? いやまさかそんな… という気もしてきます。
> ナビパ さん
ドッグランで十分使いこなしていると思うので、ナビパさんならすんなり移行出来ますよ。
> レイリー さん
今は仕事に追われる方と、仕事にありつけない方、二極化していますね。
何でこんな社会に…?
> まっちゃん さん
製造コストも気になります。
> 良吉 さん
結像と屈折力コントロール、一人二役なんではないかと。
> コリンママ さん
背景技術を理解しないと使いこなせない製品があったら、使いたくないですね。
ユーザーはボタンを押すことに専念、メーカーは技術を覆い隠すことに専念すれば良いと思います。
by えがみ (2012-01-23 01:27)