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Canon BSIのノイズを軽減する特許 [光学技術・レンズ設計]

キヤノンが裏面照射型撮像素子(BSI)に生じる偽信号(ノイズ)を除去する特許を出願中です。 APS-C以上の撮像素子でこのノイズが顕著になるようで、諸々の問題を解決すれば、APS-Cやフルサイズでも裏面照射型撮像素子が採用されるかもしれませんね。

2012_15275_fig10.png

ノイズ(偽信号)の例。(a)は実画像。強い光源(白)の周辺の信号が変わってしまっている。

特許文献、及び要約・自己解釈

  • 特許公開番号 2012-15275
    • 公開日 2012.1.19
    • 出願日 2010.6.30
  • 裏面照射型撮像素子
    • 光電変換部と周辺回路の2つの基板を貼り合わせて製造する
    • 光電変換部と周辺回路はマイクロバンプで接続されている
    • 強い光が入射すると電流が変化し、周辺回路の隣接画素へ影響を与え、ノイズとなる(スミアに似た現象)
  • キヤノンの特許
    • 直流電源を光電変換部と周辺回路に接続する
    • 抵抗が下がり、電圧降下が小さくなる

何故、一眼レフやミラーレスで裏面照射型センサーが採用されないのか

アナログ信号はなるべく早い段階でデジタル信号に変換した方が良いのですが、AD変換される前に電圧降下の影響を受けてしまうようです。 裏面照射型がAPS-Cやフォーサーズ以上で採用されない理由をあちこちのWebサイトが、大きなイメージャーでは効果が薄い為と説明していることが疑問でした。 素人目に考えても、開口率は高ければ高い程、良い筈ですから。

そして接地配線の抵抗が大きければ大きいほどこの現象は生じやすい。 撮像面が大きくなった場合に生じやすく、撮像面がAPS-C以上のサイズになった場合に特に影響が大きい。 また画素数が大きくなった場合にも一つの動作に必要な電流量が増加するため、この現象は生じやすい。

つまり、裏面照射型を大型センサーに採用すると、メリットとデメリットで相殺されてしまうのでしょう。 相殺どころか、かえって悪化するかもしれませんが、大きなイメージャーでは効果が薄い為という説明はあながち間違いではないようです。 裏面照射型であっても、フォトダイオードにADコンバータを直結すれば問題は生じないと思うのですが、それだと開口率が低下してしまいますね。

流石のソニーやキヤノンも、現段階の技術力で裏面照射型をAPS-Cに採用することには良心の呵責があったのでしょうか。 コンデジ等では製品化していますが、利益を出さないと後が続きませんから、彼らを責めることは出来ませんね。 今後も研究開発が継続すれば欠点はいずれ解消されて、一眼レフやミラーレスでも裏面照射型が採用されるようになり、今以上に画質が良くなりますから、その時が楽しみですね。


タグ:Canon BSI imager
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コメント 12

良吉

 シリコンダイオードの裏面から電荷を取り出すことが難しいことから起こる回路問題ですね。

 電流(バイアス?)を流して回路の抵抗を下げる話が分からないので、完全には理解できませんでしたが、電池がもったいないと思うので、もう少しマシな解決方法がないのかと思います。ハイ。

 何時も課題を提供してくれるので飽きずに拝見しております。今回も難題ですね。

by 良吉 (2012-01-23 12:58) 

こうちゃん

まだまだ、越えなきゃならない
壁はおおいのですね。
by こうちゃん (2012-01-23 16:17) 

hi-low

本日(23日)発表されたソニーの新型CMOSセンサーは、正にこの積層構造ですね。サンプル品は小型センサーですが、技術が安定すれば大型センサーにも使われるかもしれません。言い方は良くないかもしれませんが、新しい技術を小型センサーで試せることがソニーの強みですね。
by hi-low (2012-01-23 18:07) 

s_take

理論的には裏面照射の方が良いでしょうから、いつかは裏面照射が当たり前になるでしょうね。
by s_take (2012-01-23 20:40) 

レイリー

暫くはノイズとの戦いが続きそうですね。。。
難しい問題が多そうです。
by レイリー (2012-01-23 22:13) 

良吉

 新しいソニーの裏面照射センサーは、ここでも紹介されていた白レンズを採用していますね。これは、ソニーも言うように各素子の色を決めるデモザイク処理で不利になり色再現性が劣ることになります。

 それでも採用したのは、輝度だけでも高感度にする必要があるからでしょう。言い換えると、それほど反対面から電荷を取り出すのが難しいと言うことになりそうです。

 増幅を強くすることは、効率から見れば裏面照射センサーの利点を相殺してしまいます。私の感覚では、色再現性が劣ることや大きめの増幅による回路問題など、当面はフルサイズなどの大型センサーに裏面照射式を使うことができないのではないかと思いますね。

by 良吉 (2012-01-24 10:02) 

まっちゃん

ソニーのRGBWセンサーは私も前からそうすべきだと考えていたんですが、RGBWを1画素として処理してもらいたいですね。
JPEGのデータ量は格段に少なくなりますし、(その分圧縮率を下げられる)4画素とする場合はRAWから現像すれば良い様な気がします。
by まっちゃん (2012-01-24 11:24) 

えがみ

> 良吉 さん
日常に例えると、単線より複線の線路の方が電車が早い(抵抗が低い)ってことでしょうか。


> こうちゃん さん
一眼レフに採用出来るまでには、もう少しかかりそうです。


> hi-low さん
偶然ですが記事はタイムリーでした。
研究室で試すのと、ユーザー様方に使って頂くのとでは、フィードバックの量が桁違いですから、必要悪だと思います。


> s_take さん
時間の問題ですね。
技術熟成まで…。


> レイリー さん
課題は少しずつ解決していくしかないと思います。
時間をかければ何とかなるかな…。


> 良吉 さん
度々のコメントありがとうございます。
確かに特許を出願していたのですが、初見の技術ではないので、製品化し易かったのかもしれません。

FSIやBSI、何を使うにせよ高感度撮影は必須ですから、信号値増幅は使わざるを得ないと思います。


> まっちゃん さん
Webに掲載するだけなら200万画素もあれば十分なんですね。
印刷する時だけ、例えば2000万画素で出せば良いわけですから。

でももう画素数高画質路線で決した以上、後には退けないのかもしれません。
by えがみ (2012-01-25 02:16) 

ナビパ

でも各メーカの研究開発そして努力には頭が下がります。
そんなカメラを使える幸せをシャッターを押す時感じますよ。
by ナビパ (2012-01-25 06:00) 

えがみ

> ナビパ さん
そうですね。昔と今では桁違いの性能ですね。
撮影者も進歩しなければ、と思ってしまいます。

by えがみ (2012-01-29 00:08) 

404z

えがみさん こんにちは。
いつも楽しみに拝読させていただいています。

できれば2月23日に公開されたキヤノンの一眼レフ用の画質の劣化を抑えた像面位相差AFの特許
(特開:2012-037777)にも触れていただきたいです。

キヤノンの特許は2月は週に300以上も公開されているようですので追いつかないですよね。
もし気が向かれましたら是非よろしくお願いいたします。
by 404z (2012-03-01 01:02) 

えがみ

> 404z さん
初めまして、コメント有難うございます。
返信が遅くなってしまい誠に申し訳ありません。

特許文献については、必ず取り上げさせて頂きます。
by えがみ (2012-03-09 21:05) 

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