Nikon 17mm F4 シフト・ティルトレンズの特許 [光学技術・レンズ設計]
ニコンが 17mm F4.0 のシフト・ティルトレンズと、 10mm F4.0 の超広角レンズに関する特許を出願中です。 以前に出願されていたものとほぼ同等の光学設計ですが、コーティングの最適化を行うことで、逆光性能の向上を図ったようです。 無理に開発期間を短縮しないで、開発を何段階に分けて行って、じっくりと煮詰めてほしいものですね。

patent: 17mm f/4

patent: 10mm f/4
特許文献、及び要約・自己解釈
- 特許公開番号 2012-78550
- 公開日 2012.4.19
- 出願日 2010.10.1
- 実施例1
- 焦点距離 f=17.11mm
- Fno 4.08
- 半画角 63.03deg.
- 像高 33.00mm
- 全長 188.30mm
- BF 53.036mm
- レンズ構成 11群18枚
- 非球面 2面2枚
- EDガラス 3枚
- 実施例2
- 焦点距離 f=10.3mm
- Fno. 4.17
- 半画角 64.84deg.
- 像高 21.6mm
- 全長 132.78mm
- BF 38.10mm
- レンズ構成 10群17枚
- 非球面 2面2枚
- EDガラス 2枚
- ニコンの特許
- 前群にあるレンズ面からの反射光でゴーストやフレアが発生し易い
- 負のレンズ面
- 物体側が凸形状のレンズ面
- 像側が凹形状のレンズ面
- 負メニスカスレンズのレンズ面
- これらの面に、ウェットプロセスによって形成された反射防止膜を設ける
適所適材

ナノクリスタルコートやスーパーEDレンズ等、使用されている技術にも格がありますが、凄い技術が使われているからといって、良い製品になるとは限りません。 単純に考えれば、全てのレンズ面をナノクリスタルにするのが一番良さそうですが、実際は値段だけが跳ね上がって、1面のみナノクリスタルと殆ど変わらない性能になるでしょうね(性能は上がるが、コスト分の効果を得られない)。 ニコンの特許は、フレアやゴーストの原因となるレンズ面を調べ、その部分のコーティングを強化したようです。 労少なし功多くというわけです。
性能
| 17mm F4 | 10mm F4 |
|---|---|
![]() |
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性能は期待して良さそうです。 球面収差は±0.1mm、非点収差は周辺で悪化が目立つ-0.4mm程。 歪曲は±1.5%なので、デジタル補正前提のレンズが多い中、良好なレベルですね。 あまり素直な形状でないことがタマにキズでしょうか。 倍率色収差は四隅で+0.05mm程なので注意が必要かもしれません。 因みに17/4の方はアオリレンズですから、極端なアオリを行わなければ、これらの収差が問題になることは少ないですね。
F1.4シリーズとF1.8シリーズ、そしてPC-Eシリーズ
最近のニッコールの充実振りは凄いですね。 F1.4で24mmから85mmまで揃えることが出来ます。 F1.8で28mmから85mmまで揃えることが出来ますし、 更に20mm近辺が追加されるかもしれません。 PC-Eは現状だけでも24mmから85mmまで使用頻度の高い焦点距離が揃っていますが、更に17mmが加われば死角無しですね。
Schneider PC-Tilt/Shift レンズが新発売
同じアオリレンズなので紹介させて頂きます。 リンク先はPDFです。
| Product | Price | Mount |
|---|---|---|
| PC-TS Supre-ANGULON 50mm f2.8 HM | 504,000 | EOS, F, K, Alpha |
| PC-TS Macro-SYMMAR 90mm f4.5 HM | 472,500 | EOS, F, K, Alpha |
| PC Super-ANGULON 28mm f2.8 | 262,500 + 18,900 | EOS, F, FD, K, Alpha, OM, YC, MD |
プロ向けだけあって流石に高価ですね。 既に発売中の120/5.6と、今回の50/2.8と90/4.5はシネマレンズの構造なので、動画でも使い易そうです。
PC28/2.8は昔発売していたものと同一の仕様で、便乗して発売した感があります。 アオリ機能がシフトのみとはいえ、シュナイダーがニッコールと同じ位の金額で手に入るのは凄いですね。
前回の記事:Olympus ライブバルブの特許に沢山のアクセスを頂き有難うございます。 またコメントへの返事が遅れ気味に申し訳ありません。









えがみさん、こんにちは。
PC-E17、追加の特許ですね。開発期間が長いのは、
より性能を高める為だった様で嬉しいです。
D800なども魅力的ですが、まずはこのPC-Eレンズを
導入したい気持ちでいっぱいです。
楽しみに待ちたいと思います。
by KENGOSHIMA (2012-04-25 16:36)
キヤノンが出せば、ニコンも出す。
その逆も多いですね。
by こうちゃん (2012-04-25 17:10)
レンズの充実加減は羨ましい限りです。
by コリンママ (2012-04-25 19:33)
適材適所、中々難しそうですね。
やはりお金を掛ければ良いというものではないことがわかります。
この所のNikonの充実振りは凄まじいですね!
by レイリー (2012-04-25 23:01)
えがみさんお早う御座います!
製品化されれば欲しくなりますが、17mmF4のシフトレンズは高い
のでしょうね!10mmF4の超広角レンズの方が欲しいですが、
此れも非常に高価に成るのでしょうね!
D700,D300s,MB-D10を売り払って漸くD800Eを手に入れた
私には恐らく無理でしょう。5月末に発売予定のAF-S28mmF1.8G
を期待して居ます。
然し、ニコンユーザーとしては、この処のニコンフルサイズ対応(FX)
単焦点レンズの充実ぶりは素晴らしく、今さらながらニコンユーザー
で良かったと感じます。早くAF-S20mmF1.8Gが発売される事を
願って居ります。当然高価でしょうが・・・・
by MDISATOH (2012-04-26 06:42)
大きな凹面と凸面が隣り合う構成では、内面反射の影響が大きいようですね。コーティングの技術が進歩してゴーストやフレアを減らせるのは良いことですが、新技術の耐候性が、やや心配になるところです。
ところで絞るとピントが移動するレンズについて、再度テストしたところ、従前と異なる結果となりました。また、ご迷惑を掛けますが顛末を書かせて貰うと。
まずf2.8のセンサーを使用している場合は、より小さい絞りを使っても大きい絞りを使ってもピントの移動が起きるのだそうです(参考)。これは大きな収差面積がピントを決める大口径レンズの宿命でしょう。
では、なぜ当該レンズが開放でAFのピントが合うかというと、開放でピントが合うようにAF補正が掛かっているのですね。従って、開放ではピントが合うが絞るとピントの移動が起こり後ピンになると言うわけです。
逆にMFを用いてマットの中心でピントを合わせると、今度は収差面に引きずられて前ピンになります。えがみさんなら収差によるピント面の移動で変化する撮影距離と、被写界深度の計算を行って理論的な裏付けが取れると思います。
このレンズを50センチほどの近距離で使用するためには、開放に合わされているAF補正を常用の絞りにアジャストするしか無さそうです。また、MFを使用するとは、f5.6くらいの小さい絞りで撮影することになるでしょう。
参考 小倉磐夫著「現代のカメラとレンズ技術(球面収差とピント異動)」写真工業出版社
by 良吉 (2012-04-26 11:53)
はじめまして。
PC-E NIKKOR 17mm の登場を心待ちにしている者です。
全長(188.3mm)が長く、重く長い部分を動かす事になると思うので、使い勝手が気になります。
by mbs (2012-04-26 13:32)
> KENGOSHIMA さん
ニコンには少なくとも二通りの開発体制があるようです。
35/1.8、40/2.8Micro、85/3.5Micro等は発売後に特許が公開されましたから、短期間で開発されたと推測出来ます。
一方、24/1.4、35/1.4、85/1.4、28-300等は特許が公開された後に製品発表されているので、開発に時間を費やしていると考えられます。
PC-E 17mm f/4D EDが本当に製品化されるのかまだ分かりませんが、間違いなく後者ですね。
因みに80-400mmのように、何年も開発が続いており、頻繁に特許が公開されますが、未だに製品化の音沙汰が無いレンズもあります。
> こうちゃん さん
お互いに追随し合っていますね。
> コリンママ さん
レンズの充実こそ勝利の秘訣です。
> レイリー さん
お金の掛け所が重要です。
レンズ面以外の不要光もあるわけですから、コーティングばかり金掛けても仕方が無いのです。
by えがみ (2012-04-27 19:01)
> MDISATOH さん
おぉ…、多くの機材を手放したのですね。
が、D800/Eはそれだけの価値があるカメラです。
業務用機器へ転戦したキヤノンは、アマチュアユーザーにとってやや遠い存在となりました。
TS17mmも28/1.8も既に発売しているキヤノンだからこそ、それが出来たと言えますが、今を生きるユーザーとしては、アマチュア重視の方が嬉しくあります。
※PC-E17mmはアマチュア向けではないですけど…
> 良吉 さん
レンズの設計データはあらかじめ分かっているので、メーカーがその機能を実装さえすれば、どのF値でもピントは合うと思います。
ただ撮影時にフォーカスが移動するのは見栄え上宜しくないので、開放に合わせているということなのでしょう。
MFなら絞込みフォーカシングを行っても良いのですけど、ヤマをつかみ難くなるのが欠点ですね。
> mbs さん
コメント有難うございます。
説明が不足していて申し訳ありません。
全長とは光学全長のことで、製品全長とは異なります。
Fマウントのフランジバック46.5mmを引いた、141.8mmが製品全長です。
実際の製品では設計の最適化やフィルタ枠の厚みもありますが誤差の範疇でしょう。
by えがみ (2012-04-27 19:03)
> mbs さん
すいません、実際に凄く長いレンズなんですね。
AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED (131.5mm)よりも更に長く、
Ai AF Nikkor 180mm f/2.8D IF-ED (144mm)位の長さが見込まれます。
仰る通り重量バランスがかなり気になります。
by えがみ (2012-04-27 19:11)