Canon 24-70mm F2.8 IS(手振れ補正)付きの特許 [光学技術・レンズ設計]
キヤノンが防振機構(IS)を搭載した24-70mm F2.8と、28-70mm F2.8の特許を出願中です。

patent: 24-70mm f/2.8
特許文献、及び要約・自己解釈
- 特許公開番号 2012-123156
- 公開日 2012.6.28
- 出願日 2010.12.8
- 実施例1
- ズーム比 2.46
- 焦点距離 f=28.00 - 68.99mm
- Fno. 2.88
- 半画角 37.69 - 17.41 deg.
- 像高 21.64mm
- レンズ全長 192.25 - 222.38mm
- BF 39.98 - 53.68
- 前玉有効径 74.47mm
- 絞り有効径 31.23mm
- レンズ構成 12群19枚
- 非球面 3面3枚
- UDガラス 2枚
- 実施例2
- ズーム比 2.86
- 焦点距離 f=24.00 - 68.70
- Fno. 2.88
- 半画角 42.03 - 17.48 deg.
- 像高 21.64mm
- レンズ全長 191.93 - 224.86mm
- BF 39.85 - 55.68mm
- 前玉有効径 77.29mm
- 絞り有効径 32.58mm
- レンズ構成 12群21枚
- 非球面 3面3枚
- UDガラス 2枚
- 正負正負正の5群ズーム
- インナーフォーカス (第2群がフォーカシング用)
- 手振れ補正 (第4レンズ群の1部、L4aが防振ユニット)
- 第1レンズ群の正の屈折力
- 弱めると収差を補正出来るが、レンズが大型化
- 強めると収差補正が困難
- 第1、及び第2レンズ群の移動量
- 少なくすると屈折力を強めなければならず、収差補正が困難
- 多くすると第1レンズ群の径が大きくなる
キヤノンの苦悩
発売済のTamron SP24-70mm F2.8 Di VC USDと、 発売を控えるCanon EF24-70mm F2.8L II USMの2本。 タムロンは手振れ補正付き、キヤノンは手振れ補正無しということが気になってしまいますね。
キヤノンは、発売するからにはプロ御用達の性能にしなければならない使命を負っています。 その結果が光学系の大型化であり、実施例2の場合、前玉の有効径が77.29mmです。 ということはフィルター径がφ95mmやφ105mmになってしまうわけです。
特許文献には多数の条件式があり、Blogで全ては要約しませんけど、性能と小型化の両立は難しいようです。 逆に言えば、性能を気にしなければ小型化も可能ということ。 「欲しいなら小型軽量化した24-70mm F2.8 ISを出すけど、タムロンと同じ性能で満足なの?」ということでしょう。
美味しいポジションにいるタムロン
私自身がA007を所持しているわけではないので明確なことは言えませんが、タムロンは開放から性能が良いわけでもなさそうです。 普段は絞って使い、F2.8は緊急用で良いわけです。 F2.8を使わないなら、軽量な Canon EF24-105mm F4L IS USM がバランスに優れます。 しかしF2.8はとても魅力があって訴求力に秀でますから、キヤノン営業の方は苦労するでしょうね。
| 24mm | 70mm |
|---|---|
![]() |
![]() |
左から球面収差、非点収差、歪曲、色収差。
腐ってやがる。早過ぎたんだ
ふと「風の谷のナウシカ」を思い出しました。
仮に特許の24-70mm F2.8ISをASAPで開発すれば、巨神兵が王蟲を薙ぎ払うかの如く、性能でタムロンを圧倒するかもしれません。 しかしレンズ重量に耐え切れるユーザーは殆どなく、肉体を崩壊させた巨神兵の如く、レンズの売上は破綻するでしょうね。
今まではレンズが肥大化するので諦めていたのが、タムロンのおかげで、現実的な大きさの24-70mm F2.8ISの開発が急務になりましたね。 キヤノンは「早過ぎたんだ」なんて言わないでしょう。 尤もG1XやEOS650D(Rebel T4i/Kiss X6i)は少し早過ぎたような気もしますが。
ちょっとズルいMicroFourThirds
換算24-70mmの Panasonic X 12-35mm F2.8 OIS も既に発売済みです。 4/3inchでフィルター径はφ58mmです。 フィルター径とレンズ有効径は必ずしも比例しませんし、鏡筒やカムはそのままで良いとして、フルサイズへ少し小さめに相似拡大し、φ95~105mmってところでしょうか。 フルサイズで防振付きの24-70mm F2.8を作ると、本来はこの位の大きさになるべきなんです。
換言するとMicroFourThirdsの光学系は相対的に大きく、それでいてユーザーには大きいと感じさせないのです。 手振れ補正の付いた大口径ズームを現実的な大きさで実現するには、プロならAPS-C、アマチュアならMicroFourThirds程度がバランスの落とし所なのかもしれませんね。
- 関連記事
- 外部リンク
Facebook コメント
トラックバック 1
エンジニアの嗜み様に、手ぶれ補正付きの24-70 F2.8の特許情報の解説記事が掲載されています。...









私はコンデジの重さもわずらわしくなってしまうヘタレです・・・。(>_<)
by 大林 森 (2012-07-08 07:36)
このクラスは価格的に簡単には手は出せませんが
タムロンならばどうにか・・・
でも24-105mmF4で十分満足しています。
資金が許せればNIKONにタムをチョイスしたいです。
CANONと言えどやはり大型化は避けられないんですね。
by ナビパ (2012-07-08 10:14)
サイズも画質も求める日本にあっては
バランスのさじ加減が難しいのでしょうね・・・
長い開発期間の最中に世の中の需要も変わって
いくことを考えるとホントに難しいですね!
by ぱぱくま (2012-07-08 12:07)
MicroFourThirds相対的には大きいんですね。でもそもそも小さめなので気がつかないんですね。MicroFourThirdsに500ミリぐらいのズームがあったらいいのですが
by スミッチ (2012-07-08 12:13)
えがみさん、今回は特に筆が奮っていますね。
24-70/2.8L IIの延期については、ズーミング時の繰り出しに伴う偏芯が原因ではないか?という憶測が流れていますね。 以前に70-300/4-5.6 ISの偏芯について話題になったかと思いますが、キヤノンはまだ克服できていないのでしょうか? ただの憶測ですが、妙に現実味のある話なので気になっています。
かくいう私は24-70/2.8L IIへの乗換は様子見です。新型にすれば驚くほどシャープな写真が撮れるのでしょうが、それならば単焦点でF2.8に絞れば済む話ですし、リアフォーカスで普通と逆の動きをするレンズ(広角端で伸び、望遠側で縮む)が私の人生を象徴しているようで、離れ難いという気持ちもあります。常にスタイルが崩れずオシャレですしね!
現実的な話として、70-200/2.8L ISが新型でも77mm径なので、70-200が82mm径になるまではシステムを77mm基準のままで維持したいという気持ちがあります。まして、このレンズの為だけに95mm径のフィルターを買わされるだなんて悪夢にしか過ぎません。
ネットユーザーに賞賛されている24-105/4L ISにしても、ライバルが新製品を出しているのでそろそろ次が望まれますね。ザクで先行したジオン軍ですが、ガンダムの出現によって劣勢に立たされることのないように期待したいと思います。
(ナウシカに対して、ガンダムにしてみました。)
by ぱんだ@風の吹くまま (2012-07-09 10:08)
えがみさんこんにちは!私はご存知の様にニコンユーザーですが、つい最近シグマ24-70mmF2.8 EX DG HSM→AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDに交換しましたが、今の所タムロンSP24-70mmF2.8DiVC USDを購入する予定はありません。AF-S NIKKOR 24-120mm F4G ED VRで我慢しています。
ニコンもVRを付けると重く、大きくなるので標準ズームがロートルには、持って歩くのがきつくなります。
by MDISATOH (2012-07-09 10:51)
本申請のレンズは、EF24-105mm/F4 ISを基本にして、F2.8とするために第3レンズ群までを大型化したようですね。ライバルのニコンは、AF-S24-120mm/F4 VRとAF-S24-70mm/F2.8の光学系が異なっていますが、AF-S24-70mm/F2.8 VRでは同じになるのでしょうか。
仕様がほぼ同じレンズの光学系は、どのメーカーも良く似ています。SLR用レンズの光学系をコンピュータを使って最適化すると、同じ答えにたどり着くのでしょうね。レンズ設計者にとっては、ノンレフレックスカメラの方がチャレンジングで楽しいかもしれません。Nikon1マウントですらレンズの製品展開が遅いので、設計が難しいのでしょうが、ガミラスの隣はイスカンダルかもしれません。(ヤマトです、ちょっと古いですね…。)
by hi-low (2012-07-09 12:32)
巨神兵ですか。あの場面の作画は後の新世紀エヴァンゲリオンの監督、当時は宮崎駿の下にいた庵野秀明が描いたそうです。当時でも、その才能が垣間見える場面でしたね。
フレアカッターを使う必要が有るような過大余裕のエレメントを使う方が周辺の画質は良いようですね。画質優先のズームレンズが大型化するのは止むを得ないでしょう。
このクラスに手ぶれ防止が要るのか、私は疑問です。単にレンズの単価を上げる目的だけのような気もしますね。
NEX7の24/1.8とEOS5D2のEF35/1.4を比較して、どちらを常用とするか確認してみたんですが、思った以上に24/1.8の方が優れていて、少し安心。さすがのツアイスです。
残念ながらシグマ30/2.8とEF50/1.2ではEFの方が格段によい描写です。EFは、輪郭に崩れが少なく整った描写ですが、10倍の価格ですからね、しょうがないですか。
by 良吉 (2012-07-09 18:31)
> 大林 森 さん
最新型のコンデジは軽いですよ。
殆どは100gと少し。
> ナビパ さん
むしろF2.8よりもF4.0の方が賢明な判断です。
でもF2.8は魅力ですねー。
> ぱぱくま さん
日本のユーザーは贅沢ですね(笑
市場の目が厳しいから良い製品が生まれるのだと誰かが仰っていましたが、その通りかもしれません。
> スミッチ さん
イメージセンサーに合わせて近似縮小し、マイクロフォーサーズを作ったら、小さ過ぎて持ち難いと思います。
それにマイクロフォーサーズは画素ピッチで不利な条件にあり、バッテリーやDSPも簡単に小さく出来るわけではないですから、今のサイズは言う程にはズルくないですよ。
Tokinaを除くと、Panasonicの100-300mm止まりですね。
いずれ超望遠も出そうなものですが…。
by えがみ (2012-07-15 16:18)
> ぱんだ@風の吹くまま さん
性能を重視するあまり、製造誤差の許されない設計になってしまったことは考えられますね。
市場に24-70/2.8IIのプロトタイプが出回っているのは、試作だけに組立工程を奢ることが出来た。
しかし量産ではそれが出来ず、直前になって気付いた、という所でしょうか。
設計がシビアである場合、偏心問題は常につきまといます。
70-300/4-5.6ISで、ある基準を達成したからこそ、次の段階、よりシビアな設計へ挑戦したのではないでしょうか。
ただ背伸びし過ぎたことに気付いたのは、量産直前だったということ。
EOS Lレンズ全体がシネマ化してしまわないかと心配です。
CN-Eならばφ100mm径以上が許されますし、現場で使われているフィルターは4inchやそれ以上です。
ただ一般ユーザーは置いてけぼり。
私は普段使いはφ77mm径のフィルターが限界サイズだと思っています。
常に持ち出すわけではないレトロフォーカスの広角レンズや、望遠レンズでそれ以上に大きくなってしまうのは良いのですよ。
自分に適したシステムを使えと言われてしまえば、それまでですが…。
by えがみ (2012-07-15 16:23)
> MDISATOH さん
24-120/4VRで我慢というよりは、そちらの方が良いと思いますよ。
> hi-low さん
不特定多数の読者がいると思うので、再放送の多いナウシカなら伝わり易いと考えたのです。
次回は少し凝って999を引用してみようかしら。
特許文献には社の自他を問わず既存の技術が挙げられています。
各メーカーともお互いに参考にしている部分があるのだろうな、と思っていたりします。
> 良吉 さん
様々な需要がありますから、それに応えなくてはならないのでしょう。
特に動画ではどんなレンズにも手振れ補正は有用かもしれません。
有難うございます。ますます迷いますね。
少し前まで高級レンズはフルサイズDSLRの特権であり、ミラーレスを選ぶ理由はありませんでしたが、今ではミラーレスも良いですね。
いずれ35/1.4IIが出るのでしょうけど、24/1.8で良いかな…。
NEXの各画角において高級レンズが出揃うのは時間の問題でしょうし。
by えがみ (2012-07-15 16:24)
> ぱんだ@風の吹くまま さん
> 今回は特に筆が奮っていますね。
特許の公開日は2012年6月28日ですから、29日の記事にしても良かったのですよ。
ただ思うところがあり、先日のキヤノンの発表に合わせて記事にするつもりでいました。
直前で、またまた思うところがあり、各種BlogやBBSの様子を見ることにしました。
その思うところとは、先んじて24-70/2.8VCの発売を実現したタムロンが持ち上げられていたことです。
あるスペックを実現することと、納得のいく性能でスペックを実現することは別問題だと、伝えたかったのです。
例え話とか入れていたら、冗長な記事になってしまった感もありますが…(苦笑
by えがみ (2012-07-15 16:26)