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Canon 環境変化に強い樹脂レンズを用いた300mm F4の特許 [光学技術全般]

キヤノン300mm F4特許を出願中です。 樹脂レンズを用いることで色収差を軽減し、また樹脂レンズの欠点である温度変化による性能変動も軽減したようです。 また研究中のようなのでEF300mm F4L IS USMの後継機は直ぐに登場しないのでしょうけど、今後は高級レンズでも積極的にプラスチックレンズが使われるようになるかもしれませんね。

EF300mm F4L II IS USM

patent: 300mm f/4

特許文献、及び要約・自己解釈

  • 特許公開番号 2012-159726
    • 公開日 2012.8.23
    • 出願日 2011.2.1
  • 実施例3
    • 焦点距離 f=300mm
    • Fno. 4.0
    • テレ比 0.68
    • インナーフォーカス
    • φr=68.8mm
    • φg1=67.8mm
    • φg2=70.2mm
  • 技術背景
    • 光学系の小型化を行うと、軸上色収差、倍率色収差が顕著になる
    • テレフォト系のレンズでは、焦点距離が長くなるほど、色収差が目立つ
    • 異常分散性を持つ樹脂材料で収差を補正する方法もあるが、厚い樹脂は高精度な生成が困難
    • 薄い樹脂材料をガラスではさむ方法もあるが、接合歪み、高温下での接合剥がれが問題
  • キヤノンの特許
    • 3つ以上の光学素子を接合
    • 樹脂の外径を大きくして、接合時の歪みを小さくする
      • 樹脂外側のガラス素子同士を接着させない
      • 外側の光学素子同士が接着されてしまうと、接着剤の厚み分布が生じる
    • 封止剤を用い、吸湿による樹脂の屈折率変化や形状変化を防ぐ
    • ガラス素子の外周部に黒塗りを行う
      • 樹脂外周部におけるフレアやゴーストを防ぐ
      • 樹脂面はのりが良くない
光学素子断面図
光学素子断面図 説明
EF300mm F4L II IS USM EF300mm F4L II IS USM φrは樹脂の外径
φg1は樹脂と接する面の有効径
φg2は樹脂の外側の面の有効径(光軸距離が短い方の素子)

φg1<φr
dφg1≦dφr
dφg2

300mm F4は研究対象として手頃なスペック

ラジアル型屈折率分布素子といい電気光学素子といい300mm F4がよく使われますね。 収差の有無を観測する為には適度に長い焦点距離が必要ですから、これ位が丁度良いのでしょう。

キヤノンの特許は樹脂レンズをガラスではさみこんだ時に問題となる接合剥がれ(バルサム切れ)を、厚み等の最適化によって軽減したものです。 現代のレンズではバルサムは使われていないそうですが、接着剤の劣化も何かと問題を引き起こしますね。

今回の特許は小型化にも貢献するようで、単純計算で光学全長=300x0.68=204mmになり、EOSのフランジバックを引いて、製品全長=204-44=160mmとなります。 EF300mm F4L IS USMは製品全長221mmですから、大胆な小型化を期待出来るでしょう。


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でいぶさん

望遠レンズの小型軽量化への期待が高まりますね。
EOS M 用のレンズへの応用もありそうですね。

横田基地詣、我が家の夏の恒例行事となりつつあります。
by でいぶさん (2012-08-24 08:58) 

まっちゃん

サンヨンが小型軽量化するとカワセミ撮りには便利ですね〜
by まっちゃん (2012-08-25 10:19) 

えがみ

> でいぶさん さん
ハイエンドの望遠は今後もマウントアダプタを使わせるということで良いと思いますが、キットの望遠レンズだけはEOS M専用設計が必要でしょう。


> まっちゃん さん
撮像素子が小さいおかげで、300mmくらいでも十分になってきました。
f=300mmだと本来なら全長300mm必要ですが、小型軽量であればある程、重宝しますね。

by えがみ (2012-08-25 14:38) 

RAVEN

樹脂レンズといえば、揮発成分が抜けるなどの経年変化が気になったりしますけど、たしかミノルタがガラスレンズに樹脂を重ねるタイプの複合非球面レンズを採用してかなりなりますね。
そういうレンズが現在どうなっているのか興味があります。
とはいえ携帯電話用のカメラレンズや光ディスク類のレーザーピックアップなど、ほとんどが樹脂レンズということなので、大きなレンズを作る技術も進歩しているのかも。

レンズ寿命という意味ではやや気になりますが、軽さというのは大きな魅力ですね。
by RAVEN (2012-08-25 16:16) 

良吉

>そういうレンズが現在どうなっているのか興味があります。

 24-85/3.5-5.6ズームを持っていますが、やはり樹脂との間に気泡が入ったりして剥がれ始めている様子でしたね。EX7とアダプターを購入しているのでテストできるのですが、今は肝心のレンズが行方不明です。

 色消しの接合面を離せば、この面の設計自由度が上がりますね。ツアイスの設計などを見ると、ガラスエレメントで埋めている例もあるようです。今回のはガラスの代わりに樹脂を使い、充填接着する際の工夫ですか。

 耐候性に問題有るとされる樹脂の利点が、今ひとつ分かりませんでした。分散などガラスより有利な面があるのでしょうか。

by 良吉 (2012-08-25 17:24) 

ナビパ

軽量化にも一役かうのでしょうかね。
コストダウンにも結び付けば嬉しいのですが。。。
by ナビパ (2012-08-26 16:39) 

シンシン。

マミヤの古いレンズはバルサム切れがとても多いです(=_=)。
中にはジャンク品で遊んだりしています。
<現代のレンズではバルサムは使われていないそうですが・・・・・
今のレンズは優秀ですね。長く使っていけるように出来ていればいいのですが、レンズの耐久力はどうなんだろう??

by シンシン。 (2012-08-28 17:43) 

えがみ

> RAVEN さん
中古市場で見掛けるのはどういったレンズか。
そこから耐久性を推し量ることも出来そうです。

携帯電話用は低品質で無問題、ピックアップレンズは温度による焦点距離変化があってもAFで調整出来るので、高度な技術は必要とされないのかもしれません。


> 良吉 さん
低分散ガラスや蛍石は重い、割れ易い等の欠点があるので、樹脂は注目されているのかもしれません。


> ナビパ さん
軽量化は、樹脂を大きな径の前玉に使うと効果大ですね。


> シンシン。さん
バルサム代わりの合成接着剤に経年劣化が存在するかどうか、それは未来が教えてくれます。
もうしばらく様子を見ましょう。

by えがみ (2012-08-30 22:36) 

未来の子供たちの環境を思う

 でも廃棄したら半永久的に残って海をプラスチックスープにしてしまうかも。バイオ由来だと燃焼してもバランスが保たれるけどね。
by 未来の子供たちの環境を思う (2014-07-02 21:45) 

えがみ

コメントありがとうございます。
廃棄しない前提なので仕方がないと思います。
レンズに資産価値を求める文化がなくなったら、バイオ材料を使ったエコレンズが登場するかもしれません。
by えがみ (2014-07-05 12:00) 

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