Tamron 40mm F2 (1inch) の特許 [光学技術・レンズ設計]
タムロンが1"の撮像素子に対応した40mm、35mm、30mm F2の特許を出願中です。 ライカ判換算で108mm、95mm、80mm相当になる単焦点の中望遠レンズはNikon1ではまだラインナップされておらず、小型軽量の工夫が行われているのでNikon1に似合いそうですね。

patent: 40mm f/2

patent: 35mm f/2

patent: 30mm f/2
特許文献、及び要約・自己解釈
- 特許公開番号 2012-189637
- 公開日 2012.10.4
- 出願日 2011.3.8
- 実施例1
- 焦点距離 f=40.00 - 39.84 - 38.72mm
- Fno. 2.00 - 2.00 - 2.20
- 半画角 ω=12.1 - 11.8 - 10.8°
- 撮影距離 D=∞ - 1617.7 - 400.0mm
- FB=18.848mm
- レンズ構成 7群7枚
- 非球面 2面2枚
- インナーフォーカス
- 実施例2
- 焦点距離 f=35.27 - 34.88 - 33.70mm
- Fno. 2.0 - 2.0 - 2.1
- 半画角 ω=12.1 - 11.8 - 10.8°
- 撮影距離 D=∞ - 1414.1 - 402.0mm
- FB=17.5280mm
- レンズ構成 7群7枚
- 非球面 2面2枚
- インナーフォーカス
- 実施例3
- 焦点距離 f=30.00 - 30.07 - 30.05mm
- Fno. 2.0 - 2.0 - 2.1
- 半画角 ω=15.7 - 15.3 - 14.6°
- 撮影距離 D=∞ - 1215.0 - 402.0mm
- FB=21.4268mm
- レンズ構成 7群7枚
- 非球面 1面1枚
- インナーフォーカス
- 防振群の小型化
- 光線径が小さくなる箇所に配置 (開口絞りの近く)
- 像面から離れた箇所に配置すれば、少ない移動量で補正可能
- 単レンズで構成
- フォーカス群の小型化
- 単レンズで構成
- 防振レンズを非球面とし、防振時の性能劣化を抑制
- フォーカスレンズを非球面とし、フォーカシング時の収差変動を抑制
性能
| 40/2 | 35/2 | 30/2 | |
|---|---|---|---|
| INFの収差、左から球面収差、非点収差、歪曲 | ![]() |
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| MODの収差 | ![]() |
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| 防振時のコマ収差 | ![]() |
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40mm F2のINF側を挙げてみると、球面収差はg線が四隅で+0.06mm、非点収差はs、m線とも±0.03mm以内、歪曲が-0.8%と、驚異的な性能ですね。 35mm F2もほぼ同じ性能ながら歪曲が0のようで、同様に期待出来ますね。 30mm F2は一般的な単焦点くらいの性能ですが、中心性能は良いので、廉価ならば需要があるかもしれませんね。
純正に無いスペック
タムロンというとOEMを思い浮かべてしまいますが、ニコン純正には35mm判換算でメジャーだった焦点距離で出すという傾向があるので、今回の特許出願はタムロン独自でしょう。
つい先日、タムロンの1インチ用レンズの特許が公開されたことは記憶に新しいことと思います。 今回は手振れ補正が前提ですので、タムロンブランドのレンズとして訴求力が大きく向上しましたね。
しかも意外に寄れるんですよ。 焦点距離40mmで最短撮影距離400mmはフルサイズだと普通の性能ですが、換算2.7倍の1インチの場合、マクロ並に寄れることになります。 換算焦点距離はタムロン90mmマクロに近いので、更に成熟させて、マクロレンズ化するのも悪くないですね。
レンズは一日にしてならず(Lens was not built in a day.)
カメラメーカーが新しいマウントを発表した後に、レンズメーカーがレンズの開発を始めたのでは、純正とスペックがかぶる可能性があります。 例えばソニーE30mm F3.5マクロ と シグマ30mm F2.8EX DNは、コンセプトが異なるとはいえ、焦点距離が同じなので買い揃え難いですよね。 カメラメーカーは標準ズーム、パンケーキ、高倍率ズームを最初に出す傾向にあるようですから、先ず中望遠を手掛けるタムロンの戦略は正攻法です。
異なる仕様で複数の実施例
レンズの基本的な構造は同じながら、焦点距離等の仕様を変え複数の設計を行うケースを結構見掛けます。 最近公開された特許だとシグマ 30mm F2.8EX DNやM.Zuiko ED12mm F2.0等があります。 他には、今回の特許と同日に公開された特開2012-189791があり、これはM.Zuiko ED60mm F2.8 Macroの特許と思われ、50mm F2.8から70mm F2.8まで検討されたようです。 これらは、おそらく光学設計をした後で、商品力や原価、部品の共通化等のバランスが一番良いものを選ぶのでしょう。
手振れ補正ユニットの位置
最近のトレンドは、 キヤノンのEF24mm F2.8IS USMや同28mm等、開口絞りの隣に防振群を置く光学設計のようです。 これなら手振れ補正用レンズを大きく動かす必要がないので、小型軽量に貢献します。 小型軽量を最優先で考えた場合、それが最適解なので、今後はどのメーカーも似たような設計になるかもしれませんね。
前々回の記事で、私は
「RX1のリーフシャッターはビトウィン(between)ビルトインだろう」
とコメントしました。
その理由は、高速シャッタを実現するなら開口絞りの隣にシャッターを配置するのが一番簡単だと思うからです。
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エンジニア嗜み様が、タムロンが出願した、Nikon1用と思われるレンズの特許情報解説記事をアップされています。...
















はじめまして。那和と言います。
ソニーRX1に関して、「ビルトイン(built-in)」とおっしゃって
いますが、「ビトウィン(between)」ではないでしょうか。
レンズシャッターにはご存知のように、ビフォア、ビトウィン、
ビハインドとあり、シャッターの位置を示しています。"built-in"
は「内蔵」ですから、ビフォアやビハインドと対立する概念とは
解釈できますが、いかがでしょうか。
揚げ足とりのようなコメントで申し訳けありません。
by 那和秀峻 (2012-10-08 08:58)
私の間違いが原因かもしれませんね。
フロント・ザ・レンズシャッター(front the lens shutter)
ビトウィン・ザ・レンズシャッター(between the lens shutter)
ビハインド・ザ・レンズシャッター(behind the lens shutter)
ビフォアーの呼び方もきいたような気がしますが。
えがみさん、ご迷惑を掛けました。
by 良吉 (2012-10-08 09:44)
> 那和秀峻 さん
初めまして、ご指摘頂きまして有難うございます。
私の勘違いでございます。
P.S.
もしや写真家の那和先生でございましょうか。
時々、Blog等拝見しております。
> 良吉 さん
有難うございます。
あれ、と思ったのですが、複数の呼び方があるのだろう、と早とちりしてしまった私に責があります。
by えがみ (2012-10-08 12:09)
ノンレフレックス用の交換レンズは、どのメーカーもマクロレンズは後回しですね。設計が難しい割に販売数が少ないのでしょうが、そこがサードパーティーのニッチなので、タムロンやシグマには頑張って欲しいです。
> 那和 さん
> 良吉 さん
「ビルトイン」を"the shutter is built in the lens."と思いましたので、私は違和感を感じませんでした。一般的な表現として受け取る場合と、技術的な用語としての場合で、感じ方が異なるので表現が難しいですね。
by hi-low (2012-10-08 12:29)
>えがみさん
はじめまして。
拙ブログを読んでいただいて、ありがとうございます。
>hi-lowさん
はじめまして。
ご指摘のように、built in(内蔵)the lens shutterでも
意味としては、そういうことで間違いではないと思います。
ただ、レンズ一体型カメラの場合、behind the lens shutter
でも、built inと解釈できないこともないので、昔の用語を
ご紹介しました。
>良吉さん
はじめまして。
えがみさんの記事だけを拝見していたので、コメントを読み逃して
いました。揚げ足とりみたいで申し訳けありません。
by 那和 (2012-10-08 12:38)
> hi-low さん
私はhi-lowさんとは違う理由で、違和感なく納得してしまいました。
外付けは取り外しし易い、内蔵は半固定というもので、ビトウィン・ザ・レンズシャッターのレンズは、シャッターを外すまでの工程が多いので。
by えがみ (2012-10-11 21:57)