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Canon 50mm F2 フルサイズミラーレスの特許 [光学技術・レンズ設計]

キヤノンがフルサイズ一眼レフに対応する50mm F1.2と、フルサイズミラーレスに対応する50mm F2特許を出願中です。 最適化された異常分散ガラスを使用することで軸上色収差を補正した大口径対称型レンズなので、性能に期待出来ます。 各社ともフルサイズミラーレスを意識した設計を始めているので、本格的なフルサイズミラーレスの登場は時間の問題でしょう。

Canon CN-E50mm T1.3 L F

patent: 50mm f/1.2 full-size DSLR

50mm F2.0 full-size mirror-less
Canon EF-F 50mm F2L USM Zeiss Planar T* 50mm F2ZM Leica Apo-Summicron 50mm F2 ASPH.
patent: Canon 50mm f/2.0 full-size mirror-less Zeiss Planar T* 50mm f/2 ZM Leica Apo-Summicron 50mm f/2 ASPH.

特許文献、及び要約・自己解釈

  • 特許公開番号 2012-247451
    • 公開日 2012.12.13
    • 出願日 2011.5.25
  • 実施例1
    • 焦点距離 f=51.70mm
    • Fno. 1.25
    • 半画角 ω=22.71°
    • 像高 21.64mm
    • レンズ全長 105.65mm
    • BF 40.00mm
    • レンズ構成 6群9枚
    • 非球面 1面1枚
    • 最大有効径 45.16mm
  • 実施例4
    • 焦点距離 f=50.00mm
    • Fno. 2.06
    • 半画角 23.40mm
    • 像高 21.64mm
    • レンズ全長 72.62mm
    • BF 28.86mm
    • レンズ構成 4群8枚
    • 非球面 無し
    • 最大有効径 33.34mm
  • 一般的な対称型レンズ
    • 倍率色収差の補正が可能
    • 大口径化すると軸上色収差の補正が困難
  • キヤノンの特許
    • 大口径対称型レンズ
    • 正、絞り、正の順で配置
    • 高異常分散ガラスを使用し、軸上色収差を補正

50mm F1.2

実施例1~3は50mm F1.2です。 いずれもEF50mm F1.2L USMとレンズ構成が異なりますが、モデルチェンジには時期が早いので、CN-E50mm T1.3 L Fのものでしょうか。 少し前に85mm F1.2(T1.3)24mm F1.4(T1.5)14mm F2.8(T3.1)と思われる特許も公開されていましたし、特許出願日からも辻褄が合いますね。

球面収差は±0.02mmでズバ抜けた性能、非点収差はワーストで-0.2mm位なので許容出来る程度、歪曲は-2%の樽型で少々多め、倍率色収差は四隅で+0.03mm位あるものの、それ以外は-0.003mm位なのでかなり良さそうですね。 4Kに対応する性能という謳い文句は誇張どころか謙遜であり、その上も狙えるでしょう。 勿論、幾つかある実施例の1つに過ぎず、実際の製品の良し悪しは不明で、そもそもCN-E50mm T1.3 L Fと関係あるのかも不明です。

performance
50mm F1.2 50mm F2
Canon CN-E50mm T1.3 L F Canon EF-F 50mm F2L USM

左から、球面収差、非点収差、歪曲、倍率色収差

50mm F2:設計値の伝統をやぶったキヤノン

一般的に、特許文献の実施例にある設計値は中途半端な値なのですが、私がキリの良い数値に直して紹介していることは、読者の方ならご存知かと思います。 あるメーカーの50mmは、製品タイトルやカタログ仕様が50mm、取説にある仕様表が51.6mmです。 業務用だと1台毎に計測されて、測定結果が添付されることもありますね。 今回の特許の50mm F2は、設計値が丁度50mmです。 50mmレンズを50mm以外で設計するメーカーはシグマくらいなものなので、ちょっと驚きです(シグマ50mmは少なくとも51.6mmより短いと思います)。

性能は、球面収差のワーストが-0.07mm程度、 非点収差は四隅を除けば-0.05mm程度、歪曲が-2%、倍率色収差が+0.005mm程度、と従来の単焦点よりもワンランク上の性能を期待出来そうですね。

今そこにある危機 フルサイズミラーレス (Clear and Present Danger Full-Size Mirror-Less)

特許文献にはフォーカシングの説明がありませんが、おそらく全体繰り出しでしょう。 このフォーカス群は通常のSTMでは動かせない可能性があり、リング型USMや巨大なSTMを使うとレンズ外径がメタボ化する可能性があります。 今のままフルサイズミラーレスを作ると、コレジャナイ感が出てくるかもしれません。

特許文献の記述は性能を出す為のレンズ設計であって、フルサイズミラーレスなんて一言もありません。 私が勝手にライカMマウントにも転用可能と判断しているだけ。 前回の記事もフルサイズミラーレスですが、当Blogが無名だった頃を除き、初めてコメントが0件という快挙を成し遂げたことからも、フルサイズミラーレスというだけでは売れないでしょう。 尤も食い付きが悪いのは出願人がタムロンだったことも理由の一つです。

フルサイズミラーレスに対応する他の50mm F2の画像を他所から拝借しましたが、特許の50mm F2は思わず欲しくなるようなレンズ構成ですね。 敢えて非球面を使わなかったことは、エンジニアの方の拘りでしょう。 ライカの方は明らかにデジタル対応を意識していて、使ったことはありませんが、周辺まで画質が良さそうに思います。 勿論これは優劣を決めるものではなく、性格の違うレンズというだけです。 キヤノンなら、本当に求められているフルサイズミラーレスを出してくれるかもしれませんね。


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良吉

 50ミリにおける軸上色収差の二次スペクトルは、もともと無視できる範囲ですが、これが原因でアウトフォーカス部分に偽色が発生するらしく、防ぐため厳格な補正を行うことになったのでしょう。

 大画素数機EOS-1S用かなと想像したりしていますが、どうでしょうね。f2のほうはバックフォーカスが短いので、一眼レフ用ではなさそうですね。想像されるとおり、フランジバック27.8ミリに合わせてあるかもしれません。

by 良吉 (2012-12-16 11:08) 

那和秀峻

えがみさん、こんばんは。

メールアドレスがわかりませんので、コメント欄に書きます。

公称50mm、実焦点距離51.6mmはライカがエルマー50mmF3.5から始めたことですが、その後の各メーカーもその実焦点距離を守っているようです。理由はわかりませんが、現在でも多くのメーカーでは公称50mmは実焦点距離51.6mmです。
by 那和秀峻 (2012-12-16 18:51) 

えがみ

> 良吉 さん
大抵の現行レンズは合焦面に限定すれば、悪くないのですよね。
ただアウトフォーカスでの色収差まで面倒を見切れていないようで、宜しくない画質になってしまう…。

各社ミラーレスに対してユーザーが「フルサイズに対応出来るのでは」という熱い議論を日夜続けていますが、出来る出来ないで言えば出来るのですよ。
ただケラレ等の問題もあって、レンズによっては制限が付くだけです。

ライカMマウントに合わせておけば取り敢えず安心という考えが心底にあったのかもしれませんが、50/2.0という無難なスペックだと、無理に長くする必要も短くする必要もなくて、偶然ライカMマウントに近いサイズになったのが正解でしょうか。


> 那和秀峻 さん
有難うございます。キヤノン含む殆どのメーカーの50mmは、ご指摘の通り51.6mmで設計されているようなので、今回の出願には疑問符でした。

by えがみ (2012-12-17 00:42) 

hi-low

アクロマートをアポクロマートへ進歩させたのですね。
しかし、アポクロマートになっても、異なる波長の光は像面側レンズ表面の少し異なる位置から射出しますので、硝子レンズを使う限り合焦面以外では必ずカラーフリンジが出ます。
大口径でバックフォーカスの短いレンズで影響が出やすいでしょうから、ボケの特性とレンズ鏡体サイズを考慮すると、ミラーレス用レンズとしてはF2が落としどころになったのでしょうか。
by hi-low (2012-12-17 09:16) 

良吉

 気になったので、本に出ている50ミリを調べてみました。実測なので厳密には51.6ミリを狙ったものも有るのでしょうが、簡単にするため合っているものだけを抜き出すと。48本の公称50ミリのうち、19本が51.6ミリでした。

 ご承知の通り、一眼レフ用50ミリレンズの設計は難しく、当初は55ミリからスタートしたほどです。調べたなかにも52ミリを越えるレンズもありました。逆に正確に50ミリ代も有って、バラバラの印象です。特に本家のライカ・ズミクロン50(1953年)がRF用なのに52ミリなのが意外でした。

 推測ですが、レンズ設計の立場からすると、なるたけ長い方が良いのですけど、50ミリから掛け離れても問題になりそうなので、ライカの51.6ミリを落としどころにしたのではないでしょうか。あのライカ標準でも51.6ミリだと言うわけですね。

 以前、えがみさんが指摘したとおり、その後は規格維持の観点から標準は51.6になったのでしょう。ところで、近々、発売されるツアイスのスーパー標準レンズ(ディスタゴン)は55ミリです。無理をせず、性能のみを追求したレンズのようですね。

by 良吉 (2012-12-17 10:45) 

MDISATOH

えがみさん今日は!50mmF2と言うと、価格が高く私には到底買えませんが、LEICA APO-SUMMICRON 50mm F2 ASPH.をどうしても
想い出してしまいます。その像は確かに素晴らしいのですが、価格69.3万円はとても手が出せません。
by MDISATOH (2012-12-17 11:07) 

canon user

F1.2の歪曲収差を見ると後群は正のパワーが強そうなので、結局レトロフォーカス構成になっているのだろうと思います。実際にも樽型歪曲が2パーセントもあってかなり大きいですから、対称型のレンズとは言えないと思います。これはどちらかといえば、コンパクトさと大口径を狙った特殊なレンズに見えます。非点格差も歪曲も大きく、従って倍率の色収差も多分大きく、特段高性能なレンズには見えないです。ただ、サジタルコマフレアが中間画角までは少なそうなのでそこは期待できます。

それと比べるとF2.0の方はずっと素直な補正で、より高画質であろうと思いますが、それにしても歪曲が大きいのは、一見対称型のレンズ構成に見えるけれども、やはり後群の正のパワーが強いのだろうと思います。

私はこの収差図を見ても画質がどうなっているかは分かりませんでした。
ミラーレスはコンパクトさが売りなので、F1.2の大口径というのは、趣旨に沿わないレンズではないかと個人的には思います。ソニーで出してはいますが。

個人的にはこういう大口径のレンズではなく、もっと緻密な描写をしてくれる対称型のレンズ、しかも過去に例のないような構成のレンズを出してくれることを期待しています。
by canon user (2012-12-17 20:21) 

えがみ

> hi-low さん
アウトフォーカスでの色収差を補正、という謳い文句のレンズはありますが、それでも色付きは目立っていますね。
そういう意味ではApo-Summicronのレンズ構成も理にかなっていると思います。


> 良吉 さん
有難うございます。当時は5cm表記の時代でしたから、RF用で5.0cmでないのは誤差の範疇でしょうか。
レンズによっては、特にニコンFマウントは産業用に使われますから、規格維持は結構重要だと思っています。

一眼レフ時代はミラーがある為、デジタル時代は入射角の為、と理由は違えどバックフォーカスを長くする方針のようですね。
京セラ・ヤシカ時代の限定レンズも、Planar55/1.2でしたし、50mmにはあまり拘らないようです。


> MDISATOH さん
Summarit50/2.5や、APOではないSummicron50/2でしたら安価ですね。
Apo-Summicronには金額に見合う価値があるとはいえ、レンズ構成を見てしまうとキヤノン50/2やプラナー50/2を選んでしまいそうです。
デジタルにはApo-Summicronが一番適しているのですけど…。

by えがみ (2012-12-19 18:32) 

えがみ

> canon user さん
コメント有難うございます。一眼レフからミラーを取り払って且つバックフォーカスを短縮した、いわゆるレンズ設計の自由度だけを増した大型ミラーレスがあれば欲しいです。

定義が重要になりますが、望遠率(全長/焦点距離)で言うとレトロですし、パワー配置の正負で言うなら対称です。
コシナのBiogonは歪曲が-1%もありますし、性能次第ではDistagonを対称型と呼べることになってしまうので、歪曲性能を定義に含めるのは避けた方が良いと思います。
敢えて名称を与えるなら、レトロ性を強めた対称型になるかと思います。

そもそもINFにおける僅か4つだけの収差図で性能を語ること自体がナンセンスです。
設計変更、製造・組立誤差、収差変動、内面反射、etc…、それら全てを無視していますから。
“特段高性能なレンズには見えない”というのは、最後に私がレンズを誉めて括ったからだと察しますが、図版を含む文末以外を読んで頂ければ「部分的に」ということがお分かりかと思います。
例えば各Webサイトにある交換レンズのレビュー等で、サンプル画像で判断するユーザーは、canon userさんのように真意を見抜いてくれると思いますが、結局そのレンズが良いのか悪いのか文章で書かないと理解出来ないユーザーは、当Blog記事を誤解する可能性があります。

今回は断り文等を入れなかったので(たまにしか入れない)、前提条件をご存知ない初見の方が誤解する可能性は大きいですし、メーカーファンの方の反応を気にして余程のことが無い限り批判等を避ける(かと言って誉める必要もない)私の方針も問題でした。
今後は幅広い層が誤解しない書き方に配慮したいと思います。

by えがみ (2012-12-19 18:33) 

えがみ

独り言です。

当Blogが他所で誤解されることは少なくなく、先ずは特許出願の意味から毎回説明する必要があるのかもしれません。
当Blogで「~と思う」「~だろう」と言っているのに、他所では断定されてしまうこともあって、流石の私も一人歩きした評価には責任を持てませんし、有名税には苦笑せざるを得ないです。

by えがみ (2012-12-19 18:36) 

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フルサイズミラーレス用?キヤノンが50mmレンズの特許出願(エンジニアの嗜み)(YOUのデジタルマニアックス dmaniax.com 2012-12-16 09:45)

エンジニアの嗜み様が、キヤノンが出願している50mm単焦点レンズの特許について解説されています。...

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